シチズン・ジェインという映画

よい映画だった。「ジェイン・ジェイコブス」。

住人の目から論じられた都市論の先駆者として知られるジェイン・ジェイコブス(1916−2006)の記録映画(現代は「Citizen Kane」ならぬ「Citizen Jane」)である。

「アメリカ大都市の死と生」という傑作都市論の著者であり、都市開発王として知られたロバート・モーゼズとのマンハッタンを舞台にした戦い(そして勝利)を主題としている。

ぼくはジェイコブスによる”新築都市住宅が必ずしもいいとは限らない。音が筒抜けになったりする欠点がついてくる”というくだりを読んだとき、一体何の話をしているんだろうと(昔は)思ったものだ。

日本とマンハッタンとは住宅のクオリティが違うからね。

モーゼズは高速道路を通し、都市に高層ビルを建て、区画を整理するばすべてが解決すると主張をしていた。

それに対してジェイコブス(ら)は街ごとに性格があるからマンハッタンは魅力的であり、また住人が家の中に引っ込んでしまうと通りは荒廃すると主張していた。

で、実際に同地で低収入のひとばかり集めた高層アパートメント群を建てたところ、地域はあっというまにスラム化してしまった事例などが取り上げられる。

ぼくは先頃ビレッジとかを歩いて、こんなふうに街に表情があるのはなんてステキなんだろうと思ったばかりだった(谷根千ではその逆を感じた)ので、ジェイコブスの頑張りにいまさらながらエールを送る次第である。

日本では目だった都市論がなかなか出てこないけれど、あちらでは今日のNYTのホームページにあったナッシュビルの食堂の話なんて、かたちの違う都市論といってもいいかもしれない。

夕方が気持ちいい季節なだけに、歩道で飲食が出来たらいいのになあと思っているぼくは、ジェイコブスからタコまで気持ちが往来しているのだ。


ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける 編集とライティングともに得意分野で企業の仕事もときどき 「朝日新聞&M」「GQ」「UOMO」「openers」などライフスタイル系媒体に 紙とウェブともに寄稿中