GTなのかGT40なのか

また「フォードvフェラーリ」を(今度は一般劇場で)観てしまった。二回観ても飽きずに観られた。ひとつだけ気になっているのは見かける映画評のなかの「フォードGT40」の表現。

まあ、重箱の隅をつつくようなことなのだが、映画のクライマックスとなった66年のルマン24時間レースで優勝したマシンは「フォード・マークⅡ」(場合によってはフォードGTマークⅡとも)。

フォードGT40というモデルが併存していて、こちらも同じレースにプライベートチームから出ていたと思う。

フォード・マークⅡは7リッター、フォードGT40は4.7リッターとエンジン排気量が異なり、所属するカテゴリーも違う。映画のなかでは呼称が混ざっていたが、いちどだけ「これはフォードGT40に7リッターエンジンを載せたクルマだ」というような台詞が出てくる。これが正しいと思う。

ただ、フォードGT40が有名になったのは、これはプライベートチームに売られていたモデルであり、FIA(国際自動車連盟)が規則を変えて7リッターエンジンでは欧州の国際格式の耐久レースに出られなくなったため67年を最後にフォードが正式には手を引いたあと、68年と69年のルマンで優勝した実績ゆえともいえる。

ちなみに、67年のルマンで優勝したのはフォード・マークⅣ(Jカーともいう)。ではマークⅢはどこに?というと、そのとき、市販のGT40に(おそらくマーケティング上の理由で)与えられたのだった。

映画のなかでもうひとつ印象に残っている台詞がある。ルマンのスタート前にパレードをするフェラーリP3を観たフォードチームが「ビューティコンテストがあればあれが優勝だ」と言うところ。

そう、フェラーリは速くて美しい。それに対してフォードGTはカッコが悪い。なのに映画を観たひとはみな感動したという。監督と脚本がすばらしくうまいのである。


ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野で企業の仕事もときどき。 ライフスタイル系媒体を中心に 紙とウェブともに寄稿中。