最近のヒット作

このところ観た映画でかなりおもしろかったのが、ピーター・ジャクスンの「彼らは生きていた」@イメージフォーラム渋谷。

The Great Warと呼ばれる第一世界大戦において、いわゆる大英帝国と、インドやオーストラリアといった自治領諸国の派遣軍Expeditionary Forcesが、フランスの西部戦線でドイツ軍と戦ったときの記録を、当時のフィルムを再編集した作品だ。

ジャクスン監督ひきいる編集チームは膨大な記録フィルムから、2つの物語を作りあげている。

ひとつは戦争の前後譚。当時の白黒フィルムをきれいに修正して、直接、戦争の影響がなかった英国で第一次大戦はどう受け止められていたかを描いている。

もうひとつは戦闘。これも当時のフィルムを使いながら、着色と、コマとコマの間の動きをスムーズにするなどして、まるでいまの映画のように編集している。かなり生々しく、英国とドイツの戦いが描かれている。

とくに私がびっくりしたのは、地雷の爆発の激しさ。また、兵器が好きなひとには、タンクの色つき映像が印象に残りそうだ。塹壕を渡る様子が登場する。

タンク(戦車)はまさに西部戦線に投入された最新兵器で、塹壕や爆弾跡を乗り超えていく性能ぶりが脅威となった。とはいえ、大昔の戰車である。ジャクスンがプロデュースした映画「The Mortal Engines」のレトロ感覚を連想した。ジャクスンは絶対にあのような”乗りもの”が好きなはず。

映画で印象に残っているのは、西部戦線で”名物”となった塹壕の描写だ。空からの映像もあり、ものすごいものを掘ったなあと感心する。アメリカの画家Joe Saccoがまさに西部戦線の英国軍の様子を大きな連作作品にした画集「The Great War」でも塹壕がえんえんと描かれている。あ、あの世界だ!と私は映画で思った。

なにはともあれ、この映画のおもしろさは、戦争に(兵士として)参加することの無意味さを描いていることだろう。ネタバレになるから書かないけれど、映画の最後に出てくる「ひとこと」が最高だ。

それにしても、名監督って編集がうまい。大林宣彦監督の最高傑作(のひとつ)が沢口靖子の生い立ちをホームビデオを再構成して作った「裸足のシンデレラ」(1985年)だと思っている私としては、感心したのだった。




ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野で企業の仕事もときどき。 ライフスタイル系媒体を中心に 紙とウェブともに寄稿中。