歌声にのった少年かThe Idolか

ハニ・アブ・アサド監督の「歌声にのった少年」

ようやく観ることが出来ました

パレスチナ人のハニ・アブ・アサド監督がガザでロケをして撮った作品で

主人公はガザ出身のムハンマド・アッサーフ

話題の映画です

実在の人物が主人公

歌のコンテストで圧倒的な力量を示し

アラブのアイドルになったのがアッサーフです

(いまは国連パレスチナ難民救済事業機関青年大使も務めている)

映画は彼がガザを脱出してエジプトで自分の歌声を披露し

アラブ世界の人々から絶大なる応援を受けるまでの物語

エンターテイメントとして軽く観ることも出来るのが

この映画のよく出来たところです。

でも記憶に残るのは

イスラエル軍の爆撃の跡も生々しいガザ地区やバリケードの映像です

冒頭にサッカーをしている少年たちが登場しますが

来ている服の色は

2014年のガザ虐殺で実際にイスラエル軍に殺された

4人のサッカー少年が着ていたものと同じだとか。

隠喩が多いようです。

そういえば映画が始める前のトレーラーのひとつに

イスラエル人のナタリーポートマン主演の西部劇(!)がありました。

この組み合わせ

ちょっと無神経じゃないの?と思ったのは僕だけ?

そういえばタイトルも気になりました

英語題はシンプルにThe Idol

抽象的ですが

このほうが監督の主張をはっきり表しているのでは。

たんに歌をうたう子どもの物語ではないのです。

パレスチナの現状をソフトに訴えかけてくる力のある作品でした。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。