テスカトポリカは間に合った

直木賞候補になった一冊が、佐藤究の「テスカトポリカ」。今回の芥川賞と合わせて、唯一、私が読んだ候補作。
「高瀬庄左衛門御留書」も話題になってすぐ手に入れていたのに、そこまで手が回っていない。
テスカトポリカは、暗黒小説。メキシコとカワサキが舞台になっていて、ストーリー運びの巧みさで飽きさせない。でも、けっこう残虐趣味があるので、読者を選ぶ。エルロイのような読後感でオーケイというひとなら、いいだろうと私は思う。
小説のラストで、ここ数年でもっとも肩透かしを食ったのは、多和田葉子の「遣灯使」。終わりかたが簡単すぎる。
そもそも物語も、短すぎる。いいテーマ性があるのに、もったいないなあと思った作品。もう一度書き直してくれないかな。3倍ぐらいの長さに。改めて読みたい。
昔の小説だけど、最近読んだ佐木隆三の「身分帳」も、おもしろく読み進めたものの、かなりあっけなく終わって驚いた。ノンフィクションノベルという形態をとっているので、主人公が存命しているかぎり、中途半端にならざるをえないのだろうか。
そんなこともないような気もするけれど、文庫版の巻末についえいる作者じしんの手になる後日談のほうが印象に残る。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野で企業の仕事もときどき。 ライフスタイル系媒体を中心に 紙とウェブともに寄稿中。