「海は燃えている」が教えてくれる

イタリア最南端の島を舞台に移民問題を扱った映画

ジャンフランコ・ロージ監督「海は燃えている」を

bunkamuraで観ました。

ランペルドゥーサ島といって

アフリカに最も近いイタリアです。

そこには過去20年間に50万人の難民がやってきたそうだ。

といってもそのうち3万人ちかくが

劣悪な船内の環境で命を落としているそうです。

その様子を淡々と撮った映画で

漁師になるべく操船に慣れようとしている

ランペルドゥーサの男の子と

彼のお父さんと

難民の面倒をみる医師と

難民を救助する海軍の様子が交互に映し出されます。

起伏はそんなにないのですが

イタリア人医師が私たちは難民を救うしかないでしょうと

当たり前のように語るのが胸を打ちます。

死体の検死も彼の仕事で

数えきれない死体を見てきていても

絶対に慣れない、と言い切ります。

しかも遺体からはサンプルとして

身体の一部を切り取って保管しなくてはならず

子どもの耳とか切るとき

彼らには一人ひとりの尊厳がある

難民になったとき

それから死体になってからだの一部が切られるとき

二重に冒瀆することなる(のがとても胸が痛む)と

その医師は話します。

イタリア海軍(いまはEUの団体に代わったようですが)は

疫病への感染を恐れて

全身真っ白な防護服で

それも死にそうなぐらい辛そうです。

こうやってがんばっているひとたちがいて

難民問題と取り組んでいる

ということが見えてくるいい作品です。

#海は燃えている #bunkamura  #ジャンフランコ・ロージ

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。