旅するハッセルブラッド

この春はスウェーデンのカメラ、ハッセルブラッドを持ち歩くという楽しい日々を過ごしていました。ライカつながりの飲み会で「興味ある」と発言したら、さっそく「使ってみたら」と貸してくれたのです。

モデルは500C。そもそも航空機用カメラを開発していたスウェーデン・ヨーテボリのハッセルブラッドが1957年に発表した6×6という比率(つまり「ましかく写真」)の一眼レフです。フタを開けて上からのぞきこむようにしてシャッターを切ります。




後ろにフィルムマガジンがあってだいたい11枚ぐらい撮れるフィルムを装填。あとはすべて手動です。おもしろいのはすべてが超をつけたいほどロジカルなこと。

装填も巻き取りも、ピント合わせも露出調整も、いちどやったら間違いようがないというかんじで考えられています。絶対に装填中のフィルムを誤って露光してしまうことはないし、巻き取りでフィルムを切ってしまうこともありません。

ぼくはこのカメラを持っていろんなところを旅させてもらいました。いちばん上は沖縄で、その下(すぐ上)はソウル。これを取り出すとみな「へえおもしろいカメラですね」と感心してくれます。

ただ……500Cはなかなか使うのが難しいカメラです。というのは少し光源が強いと部分的に露出オーバーになってしまうのです。ぶら下げてなんでもパシャパシャという使い方には向いていない、と何人かのカメラマンから指摘を受けました。

それを乗り越えて撮影していくことで自分の表現が生まれるのでしょうが。いい体験をさせてもらいました。銀塩(フィルム)カメラは堀内という大手が現像を3月にやめるなどさらなる逆風状態です。フィルムじたいがなくなるのでは、と言うカメラマンもいます。

現像にも1週間以上かかるので現代の感覚ではなかなかなじまないかも。でも「こう写ったのか」と現像があがってきたベタを見るのはじつに楽しい。自分で現像を習うというのが、いまのぼくの夢です。


ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。