50すぎて読むべき本

20世紀戦後アメリカ文学の金字塔「ザ・キャッチャーインザライ」。先日雑誌の取材でお会いした成蹊大学の宮脇俊文教授が「50すぎてから読むとめっぽうおもしろいですよ」と教えてくれたので、さっそく読み返してみました。

そうしたらなるほど。読み終わったあとも主人公がともにいるような気分になります。人生への向かいあいかたと、人生が彼に与えてくれるものへの失望感はすごい。

「村上春樹さんが50すぎてから訳そうという気になったもわかります」。米文学専門の宮脇教授の言葉ですが、なるほどと思いました。

そういえばレイモンドチャンドラーも人生に対して皮相な見方をしていたと伝記には書いてあります。戦前の文学でいえばヘミングウェイもフィッツジェラルドも、かならずしもハッピーとは思えないふしも。

米文学は内向き文学ともいわれ、外に目があまり広がっていかないところに特徴があるとされますが、それより作家たちは人生とのやりとりに忙しいのかもしれません。ドンデリーロのような作家にもおなじことが言えそうです。


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小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野で企業の仕事もときどき。 ライフスタイル系媒体を中心に 紙とウェブともに寄稿中。