インスパイアリングウーマン
これはバービー人形版「フリーダカーロ」。ミラノのMUDEC(the Museum of Culture of Milan)で見つけたもの。
おもしろいシリーズもあるもんだと調べてみると、ほかにアメリア・イヤハートとかキャスリン・ジョンスンとかある。
「Barbie is committed to shining a light on empowering
role models past and present in an effort to inspire more girls.」
これが製造元のマテルのホームページの文言。
たしかにフリーダカーロ、「Coco」の中でもパーソナライゼーションされているし、アメリカ人にとってメキシコ人女性=彼女、なのだろうか。
書きたいのはバービーのことでなくフリーダカーロの展覧会のことなのだ。
ミラノ・トルトーナ地区にある「MUDEC」での展覧会を観たのである。
カーロの生涯に焦点を当てた、とてもいい内容なのだ。
少女から大人へそして死へ、人生における愛、正への執着と怪我との戦いという普遍的なテーマで構成されている。
作品も多くて見応えがあったが、学校帰りに乗っていたバスの事故で背骨を激しく損傷したことはサルマ・ハエック主演の映画でも描かれているが、それが彼女の人生を支配したことがこの展覧会では如実にわかる。
展覧会では入ったところでフリーダカーロが事故を境に死に魅入られるようになるまでをスライド仕立てのムービー(秀逸!)で見せてくれる。
上のスケッチのように背骨に入った金属のブレースに一生苦しめられていたようだ。
それに流産など人生での悲惨。
それがメモや写真などとともに綴られている。
しかしディエゴリベラと出合い、作品には愛が押しだされるようになってくる。
ぼくは感心して見入ってしまった。
これは1948年の作品でセルフポートレート。
身につけているのはテウアナという伝統的なヘッドドレスでリベラがとても好きだったんだそうだ。
展覧会のドラマチックな構成は最後まで続く。
フリーダカーロが晩年を過ごした家に入った写真家Graciela Iturbideによる作品展となっている。
圧倒されるのはフリーダカーロの家に残された、おびだたしい数のコルセットや松葉杖。
そして最後に、この人生から抜け出せるのはなんて幸福なことか!という画家のひとことが掲げられている。
涙が出るほど印象的な展示である。
ひとの一生の重さを見せてくれる、すぐれた展覧会である。
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