ビスコンティの最高傑作

恵比寿の東京都写真美術館で上映している「山猫」を滑り込みで観た。

3月は出張つづきで映画と縁遠かったので、上映が終了するまえに駆け込んでいるのだ。

ひさしぶりに観た「山猫」はグッチ財団がオカネを出して修復したデジタル4K版である。

同時にプリント版の上映という凝ったやりかたなのがおもしろい。

ただオンラインでチケット予約が出来なかったので、会場40分前から並んだ。

結果的には前の列でよければ(充分鑑賞に耐える)ゆっくり出かけてもよかったんだが。

ランペルドゥーサの原作もすばらしいが、ビスコンティの映画は戦闘シーンと舞踏会のシーンがみごとだ。

小説にはない映画の強みがよくわかっている。

私などは舞踏会の途中で「もう疲れた」と登場人物たちが言うのがとてもおかしかった。

パーティは疲れるのだ。

カルディナーレもみごとな演技で、非貴族のあたらしい時代の人物を演じている。

シチリアの貴族である彼女の相手がアラン・ドロンなのだが、古いものが新しいものに取って変わられるという主題を鮮明に描くなら、もうすこし性格俳優のほうがよかったかもしれない。

ドロンは美男子すぎて主題にそぐわない気がする。

この映画はクライマックスでのランカスターの演技を観るために3時間を観る価値がある。

3月31日で上映終了なのだが、またやらないかな。



ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。