ジェリーとナインティ
ランドローバーディフェンダーがフルモデルチェンジを受けた。前のモデルは1948年発表。第二次大戦後、モーリス・ウィルクスというひとが、英国にもジープのようなクルマが欲しいと開発したもの。
これはランドローバーのホームページにあるシリーズ1で、航空産業がさかんだった英国らしくアルミを使ったボディの地肌が見えているのがじつに雰囲気。メーカーもヘコんでいたり泥だらけだったりするイメージを好んでいるフシがある。
今週、代官山でジャーナリスト向けのお披露目があり(一般のひとにも公開され予約を受けていた)このときランドローバーのデザイン部をひきいているジェリー・マクガバン氏も来日。私も頼まれてインタビューをした。
詳細はあとでメディアに書くのでまたそれを報告するけれど、今回はここまでアイコン化したんだからモデルチェンジはさぞかしむずかしかったはずと質問すると、それでもひとの欲望は変わらないから、そこを意識しながらデザインしていくのが肝要ということだった。
たいへん頭のきれるデザイナーで、マーケティングの話とはべつに好きなデザインのことを聞いたら、こだわりがおもしろかった。とくに洋服と家具が好きだということだ。ランドローバーはウールや植物繊維をシートに使うが、それは高級家具の業界ではいまファブリックが中心という流れとシンクロしているとマクガバン氏は言う。
「ひとつの例外は」とマクガバン氏は言う。「イームズのラウンジチェアです。これはレザー張り」。日本だと70万円を超える名作中の名作のこのラウンジチェア、マクガバン氏が好きなのはハーマンミラー社のバージョンで、スイスのビトラが作っているものは「レザーが硬すぎる」と評していた。
デザイナーの話というのは、おもしろい。
ところで新しいディフェンダー90。ちょっと狭いかもしれないが、ジャーナリストのウケはかなりよく、予約しちゃおうかなという声もちらほら。量産車でないようなデザインを実現するのが、ここ10年来のマクガバン氏がひきいるランドローバーなのだ。それでも「これはスタイリッシュだが、ランドローバーではない、などデザイナーの提案にダメだしすることがしょっちゅうあります」と言うのが興味ぶかかった。
デザイナーの仕事は守りと革新というのがよくわかるエピソードだ。
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