六本木の聊爾先生

写真家であり編集者であり知人のご尊父である秋山亮二氏の作品「津軽・聊爾先生行状記」(の一部)のニュープリントを観に行った。
これがかなりおもしろい。秋山氏は1975年から2年間、弘前市に住んで、写真機を持って作品を作った。テーマは現地の人びとの暮らしぶり。ただし、民俗学的な主題はないようで、おそらくあえて、表層的に人びとのあり方をとらえている。
なんでも、「仮想の支局長として自らを地方都市に派遣し、その暮らしを仮想の本社へ写真でリポートすることで、何か見えてくるのではないか」(写真展より)というのが動機だったとか。
なにがおもしろいって、写真に添えられたコメント。わざと、戦前を思わせる文体とともに、被写体の描写がされている。それが妙に軽い。狙いだろうけど、写真、文体、書かれた内容、その3つがまことにユーモラス。
少し大げさに言うと、生きているのが楽しくなるような、明るさに満ちている。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。