最近の読書
バーナードルイスが著した「イスラム全史」を読んだのが、最近の読書。プリンストン大学の名誉教授でイスラム・中東史が専門の学者である。ムハンマドが生まれるはるか以前から中東の地誌に触れ、のちのローマ帝国(ビザンツ帝国)、ペルシャ帝国、オスマン帝国といった、宗教と結びついた数々の帝国、そしてイラン革命からISIの台頭までが俯瞰できる。700ページの歴史書だ。翻訳者もさぞかしたいへんだったろうなーと思うのである。
知識欲は満足させてくれるものの、英国とフランスによるサイクスピコ協定や、部族と国家の関係、シーア派とスンナ派の詳細な定義や確執の実態など、私が知りたかったことは、あまり深掘りされていない。あまり重要ではないのか?
タリバンに支配された後のカブールのあり方を衝撃的なエピソードでもって描いたヤスミナ・カドラの「カブールの燕たち」や「テロル」を読んだりすると、こういうことがもっと知りたくなるものである。
フランス人の学者によるこの「中東ハンドブック」は、欧州的な「中東」の概念(レバント諸国、アラビア半島、トルコ、エジプト)を中心に地図とともに、第一次大戦後、今日にいたる情勢を解説してくれる、なかなかわかりやすい好著だ。(イスラーム全史は取り上げる地域がアメリカ的に広大)
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