版画のローカリティ
去年の暮れのこと、新宿での川瀬巴水展を滑り込むように最終日近くに観てきた。
巴水って、いいんだよなーと、改めて思った次第だ。
そもそも川瀬巴水(はすい)は、1883年(明治16年)から 1957年(昭和32年)の生涯で、とくに大正と昭和(戦後まで)に活躍した木版画家。構図もいいし、描いている世界が妙に懐かしくていい。Occupied Japanの頃は占領軍にもエキゾチックで人気があったようだ。
そういえばスティーブ・ジョブスも、何点も巴水の作品を購入したとのこと。それは今回の展覧会で知った。
改めて発見したのは、巴水の作品は、いわば“つかみ“があること。ばっと観で、強く目を惹く構図と色づかいがじつにうまい。
でも、私は、夜の樹木のような、真っ暗に近い、複雑に緑いろを重ねて作った作品などを愛するクチだ。
SOMPO美術館の展示は照明もよくなくて、巴水の鑑賞にはベストでなかったのは、実に残念な点。またどこかで、会いたい作品群だ。
0コメント