内燃機関には明るい未来?
内燃機関が終わって電気自動車の時代が早晩くると言われていますが、そう簡単に内燃機関はなくなりませんよ、と言うのはマツダだ。
さきごろ山口県のテストコースで、同社が数年後に実用化を予定しているという新世代の超燃費効率のいいガソリンエンジンを体験させてもらった。
技術的には希薄燃焼といい、燃料に対する気体の割合をものすごく大きくして燃費効率を上げていく。理論上は昔からよく知られていたが、マツダが今回「実用化のめどがたった」というほどの希薄燃焼エンジンがこれまで存在していなかった。
実際にこのエンジン(SKYACTIV-Xとマツダでは呼ぶ)を搭載した車両に乗ったところ(写真は左ハンドル車)、燃費のほうはわからないが、「デミオの燃費とロードスターの楽しさ」という後半部分は垣間見えた。
従来のガソリンエンジンに対してトルクもしっかりあるし、回転があがっていったときのトルクのつきも悪くない。カリカリという異常燃焼音もまったく気にならなかった。
試乗が楽しかったもうひとつの理由は、シャシーがまったく新しいからだ。技術者によると、そもそも骨格の考えかたをゼロベースで刷新したことがひとつ。
もうひとつはサスペンションシステムの全面改良で、こちらも車両コントロール性と乗り心地の両面でアームの動きやタイヤの接地性など根本を見なおしているそうだ。
なるほどと思ったのはじつにスムーズに動き、段差ごえもほとんどショックがないことだ。
後席ドアのまわりにもしっかり骨格が入っている。またショックを吸収するために特殊な樹脂を金属と金属のあいだに入れたりしている。
キモとなる部分をマツダでは減衰節と呼び、同様の処理を施しているのが全体で十数個所となる。剛性を上げると同時に減衰も行うそうだ。
マツダでは「いますぐ電気自動車の世の中になると言われているけれど、冷静にCO2の発生量をみると、石炭火力発電などによる電気を使った電気自動車のほうがガソリンエンジンなど内燃機関より多い」と言う。
「石炭火力発電がなくなるまでは内燃機関にはまだまだがんばってもらわらないといけない。しかも運転の楽しみはけっしてなくしてはならないと思います」
エンジン技術開発を統括する技術者はそう語っていた。なるほどほんとそのとおり。マツダは自動車の未来はそう悲観するものではないと感じさせてくれたのだった。
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