ハイメ・アジョン語りき

レクサス・デザインアワードには4人のメンターがいる。

多くの応募作からファイナリストを6つに絞り、そのあと応募者(ほとんどは職業的デザイナー)はメンターと話しながら作品を完成させていく。

2019年度は、スペインのインダストリアルデザイナー、ハイメ・アジョン氏がメンターのひとりに選ばれた。

4人のメンターはそれぞれ「リサーチ」「デザイン」「プロダクション」「マーケティング」を担当し、自分の分野においてファイナリストたちにアドバイスを与える。

それが2019年のLDAの新しいシステムだ。

アジョン氏の役割は「デザイン」。

かなり獏としていて難しそうだ。

「なにを言ったのか?」とミラノの特設会場で訊ねたら、「自分のアイディアに忠実であれ、ということです」と答が返ってきた。

「しっかり核を握って、なにを表現したいのか、それをみなに分かってもらえるように常に意識すべきなのです」

そうして最後にグランプリに選ばれたのが上の(いちばん左端)ブラジャーである。

乳房を切除したひとむけに身体のラインを復活させるためのもので、造型は3Dプリンティングで行い、製作はレースの手編みでやるんだそうだ。

考えたのは米国のインダストリアルデザイナー、リサ・マークス氏だ。

「いまはまだ世界各地に職人が残っています。そのひとたちの仕事とデジタルを組み合わせることで新しいものが生まれると思っています」

マークス氏はそう教えてくれた。


ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。