イタリアの楽しみ

ベローナでも私の楽しみは食材店をのぞくこと。前夜に夕食で出かけたレストランの料理人に、この街でいちばんいい食材店は?と尋ねて教えてもらった。


「イタリアに来たのは初めて?」とベローナでは何度か尋ねられた。「いいや、4回目」というと、「そうなんだ」と相手は納得した顔をする。「今年はね」とつけ加えるとびっくりする。そのたびに、とは言わないが、出来るかぎり食材店を訪ねている。


ベローナで足を運んだのは、写真にあるとおり「Scapin」というお店。アディジェ河にかかるビットリオ橋の近くにある。いいかんじの店で半分はカフェ、半分は食材店。後者はおじさんが一人で仕切っている。

英語はほぼ喋らないけれど、勘がいいというのか、来る客は世界共通で同じことを言うのか、こちらの言わんとすることはほぼ100パーセント理解してくれる。つまり「あれに興味がある」「味見をしたい」「100グラムいくら?」といったこと。


チーズは地元のものを味見してみたけれど、やっぱりしっくりくる、というか、一口食べておいしいと思うのは、パルミジャーノ・レッジャーノだ。パルマからは100キロちょっと北北東という関係なので、おいしいものがあっても不思議でない。

ベローナ市内にはこの時期、いわゆるクリスマスマーケットというのがあって、広場を屋台のような店が埋め尽くしている。ここではクリスマス飾りをはじめ、食材もあれば、なんでも売っている。


私は日本で手にきわめて手に入りにくくなったウールの室内履きを見つけることが出来たのが嬉しい。冬は温かく、夏は涼しく、かつソールは薄いのだがクッション性も抜群なのだ。日本での3分の1ぐらいの価格で買えた。

パネトーネもたくさん売っている。これをみると、クリスマスだなあと、私ですら思う。おいしいものはホントにおいしい。レストランでも頼めば食後に出してくれる。パンの一種なのだけれど、しっとりとして、シンプルながら味わいぶかい。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。