AloftにはマーシャルとSL1200があった

先日取材したのが、銀座6丁目、みゆき通りと昭和通りの交差点ちかくに開業した「アロフト東京銀座」。マリオットインターナショナルが世界展開するホテルブランドだ。開業前の取材だったため、従業員は開業準備に忙しそうだった。

ここがユニーだなと思ったのは「デザインで差異化をはかる」(大意)というコンセプトに基づいてデザインされていること。世界各地にあるアロフトであるものの、ホテルごとにデザインをかんがえ、独自のありかたを提供している。

ここは東京・銀座という”ヘリティッジ”を訴求しているといい、パブリックスペースの各所にMiyukizokuなんていう文字があったりする。

パブリックスペースの照明はトムディクスンが手がけたものが多い。さいきんのデザインホテルは、エースホテルのような30年代マンハッタン風のブラス(真ちゅう)か、こんなオーガニックなトムディクスンのものが多い気がする。

家では持て余す大きさのトムディクスンデザインのランプも、高い天井から吊り下げるといいかんじだ。溶けそうなシェイプがよい。

ルーフトップにあがるとフルオープンのテラス(そんなに広くないけれど)のスナックスペースが設けられている。フォルクスワーゲンのタイプ2というバンをあげて、フードトラックふうにキッチン化している。ホットドッグとか出すそうだ。

若い層をターゲットにしていることがわかる。若い層といっても、とくにインバウンドの観光客だったのかもしれない。でもここは気持ちよさそうなので(行ったときはご覧のとおり雨)日本のひとも出かけるといいだろう。

おもしろかったのは、あるタイプの部屋のオーディオだ。部屋にテクニクスのレコードプレイヤーが置いてある。かつ棚にはアナログ盤が。ほかにもレセプションで貸し出してくれるらしい。

どうやってこのアルバム選んだんだろう。エンターテイニングなセレクションだと思うものの、たとえばクラプトンのこの時期のものってどうよ、というかんじもなきにしもあらず(個人的に好きでないだけ)。

カートリッジをみたらATのDJ針がついていた。ちなみにアンプは隣のマーシャルのヘッドアンプのようなかたちをしたデジタルプレイヤーで聴く。いっそ、ちゃんといい音を聴かせるスペースをホテル内に作ったほうがおもしろいのでは、と思わないでもなかった。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。