やっぱりフェラーリ
フェラーリは、ミドシップかフロントエンジンか。クルマ好きにとって、かなり考えてしまうテーマかもしれない。回転軸の中心がドライバーの近くにあるミドシップは、スポーツカーの命ともいえるコーナリングで有利というのだが、一般の道ではあんまり関係ないカナ。
このフェラーリは「812GTSスパイダー」という。こちらは6.5リッターV12エンジンをフロントに載せて後輪を駆動。フェラーリは1940年代にフロントエンジンと後輪駆動というレイアウトでレースに参戦し、60年代に、英国のレーシングカーがミドシップに移行してレースで好成績を上げるのを目の当たりにして、ミドシップへと転換した。
ただしそれでもフロントエンジンのモデルは残した。なぜかというと、マーケットに好まれたからだ。長いノーズに大きなエンジン。トルクがたっぷりあって操縦感覚は、むかしのスポーツカー的なよさを残している。かつエレガントでもある。
でもって、私はフロントエンジンのフェラーリがとりわけ好きなのだ。この812GTSもすばらしくナチュラルな操縦感覚。あっという間に、感覚的になじんで、ドライバーと一体化する。おっそろしくパワフルなんだけど、どのレベルでも楽しめるよう設定されているところがよい。
サーキットを走るひとには、ここがクルマの限界ですよ、と教えてくれるシステムも組み込まれている。ようするに、たとえばポルシェ911のように、あらゆるひとが楽しめる。それがいまのフェラーリのクルマづくりのコンセプトなのだ。もやもやをスカッとさせたいひとは、このクルマ、本当にいいと思った。
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