イヤフォン文化

マクラーレンとのダブルネームの、クリプシュのイヤフォン。クリプシュは好感のもてる米国のスピーカーシステムのメーカーだ。イヤフォン(クリプシュではヘッドフォンと言っている)出しているなんて知らなかった。
なにしろ、私にとって、クリプシュのイメージは、ずっとレトロスペクティブなのだ。
スピーカーメーカーが、自社のスピーカーシステムとともに、エンクロージャーの青写真を販売して、一般のひとはそれをみながら、自分でエンクロージャー(ハコ)を手作りしていた50年代を連想してしまう(私はJBLパラゴンの一般向け設計図を見たこともある)。それは、同社の宣伝の仕方のせいなのだけれど。

そんなイメージのクリプシュを、エッジの効いたスーパースポーツカーを作るマクラーレンが選んだというのが、なんだかおもしろい。いいものといいもの、というのが肝腎のポイントなのだろう。

充電ケースが、たしかクリプシュは金属製であるところ、マクラーレンとのものは、クルマのイメージに合わせてカーボンファイバー調だ。

クリプシュはクラシック、と私が勝手に思い込んでいたものの、実際はオンキョーが扱っている。同社はさいきんクリプシュの特性に合わせたAVアンプも手がけるなど、けっしてクラシックではない。

ワイヤレスタイプで、いい音を聴かせてくれる。結局、スマートデバイスとストリーミングの時代が、スピーカーメーカーにも方針変更を強いているということか。音楽再生が空気の振動と無関係になるなんて、私には寂しいが。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。