サンスエサヴールにて

東京駅前の丸ビル内「サンス・エ・サヴール」で仏本店にあたる「Les Jardin des Sens」のグランシェフ、ロラン・プルセル氏が来日しての「ガラディナー」にご招待いただいた。2019年10月4日のみのスペシャルメニューである。

本国から手下を連れずに来日したプルセル氏は、しかも日本で手に入るものを極力使いながら、「シュクレサレ」という甘みや酸味を組み合わせたり、海産物とキノコや肉を合わせるなど、むかしのフランス料理ではやらなかったメニューを得意としている。


いちばん上の画像は「三陸産ホタテとフォアグラのポアレ」。おなじみの食材に、笠間栗のブルーテを合わせて食べる。栗の甘みが意外な印象を残す。魚料理(下)は青森のマトダイの蒸し焼きで、フランス産セップが組み合わされる。右のエスプーマは金時イモだ。

メインはランド産の鳩フィレ肉をロティしたもの。モモ肉のクロケットが添えてある。鳩は歯ごたえもあって、噛むほどにおいしい。私もフランスに行くと(食べる機会があれば)オーダーする食材だものな。

ところでいま、日本ではシェフのなりてが少ないという話をよく聞く。サンスエサヴールを経営する「ひらまつ」ではそういうこともないそうで、喜ばしいかぎりだが、フランスでもことはすこし似ている、とプルセルシェフから聞いた。


あちらでは、たとえばプルセル氏の「Le Jardin des Sense」のようなグランメゾンに勤めるより、小さなビストロを開くほうがいまのトレンドなんだとか。「しようがないといえばしようがないけれど、やや残念な流れ」とのことだった。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。