フツウという選択肢

メルセデスベンツの電気自動車「EQC」が日本でも発売開始されている。乗った印象は、フツウのクルマ。つまり特別さをほとんど感じさせない。内燃機関のクルマ(ICEという)と言われたら、なるほどそうか、と納得しかねない。

メルセデスベンツ本社のひとに言わせると、それが狙いだとか。保守的な層にアピールするほうがEVが市場に浸透していく時間が早いと見ているそうだ。そのためスタイリングも操縦感覚も従来のICEに近づけている。

というわけで、車重は2.5トンもあるけれど、操縦した印象は、ふつうのメルセデス車と同じようで、つまるところ、好感がもてる。ドライブセレクトでどのモードを選ぶかにもよるけれど、コンフォートとかスポーツなら、急激な加速もないし、操舵のときの車体の動きも適度にロールして、ようするに、メルセデス車らしい気持よさが味わえるのだ。

プラックパネルグリルと呼ばれるフロントマスクが同社のEQシリーズの特徴だが、保守的なユーザーのためにクロームの橫バーを入れたりして、ICE的な要素も盛り込んだんだそうだ。あたらしい時代というのは、すぐには来ないのだなと思った。


ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。