ロッキー気になった

意外に気になったクルマに出合った。ダイハツロッキーだ。全長4メートルを切るコンパクトなSUVである。


ロッキーは、同じグループのトヨタではライズの名前で同時発売された。排気量996ccの3気筒エンジンを搭載し、前輪駆動と4輪駆動の設定がある。

感心するのは、シャシーは基本的にダイハツタントであること。軽自動車のシャシーを使って、作りあげてしまった。デザインもこれまではトヨタと共同で作りあげていたのを、今回はダイハツがすべて手がけた。


「そのほうが濁りがなくなりますよね」。これはトヨタのデザイナーのエラいひとの言葉。合議制にはいいこともあるけれど、やっぱりうまくいかないこともあるって、二社ともに思っていたようだ。


ダイハツが作りあげてトヨタが買い上げた。といっても4WDシステムはトヨタ車でも使っているもの。それとトヨタライズはフロントマスクがRAV4の流れを汲んでいる。

でもって、乗っての印象は、走りはいい。とくに4WDは力強く後輪がボディを押してくれるのがいい。無段変速機はこのぐらいのエンジンによくあっている。なかなかの加速力。


ただステアリングとかのダンピングがやや足りないかな、と思う場面も。それと手で触れる部分の作りこみがいまひとつ。硬いところは硬いまま。ステアリングホイールなど芯のうえを硬質の合成樹脂で覆っているだけの、昔のフランスやイタリアの大衆車のよう。


4メートル未満の車体でも、室内はそれなりに広いし、スタイリングもなかなか躍動的だしで、これで価格は170.5万円からなのだから、けっして失望させられる買い物ではないだろう。


80年代まではフツウのクルマはこのぐらいの大きさだった。それがどんどん大きくなって、全長4.6メートルのRAV4が標準というのは、ちょっと使いにくい、と思うひとが出てきたのは不思議でない。

そろそろ以前に戻るときなのかもしれない。

ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。