恒例オートサロン詣で

東京モーターショーを規模でも人気でもしのぐまでに成長した東京オートサロンが金曜日から週末にかけて開催されるので、プレスデイに行ってきた。

もともとチューニングカーのガレージと顧客との交流が中心だったオリジンを踏まえ、参加する自動車メーカーの多くはやはりスポーティな雰囲気を前面に押しだしている。

たとえばトヨタはガズーレーシングが主体で、2020年の目玉はWRC参戦中のGRヤリス(の日本発売)。最後は豊田章男社長までプレスカンファレンスに登場……と気合いが入っている。(下の画像・いちばん左の人物が豊田社長……ってみな知ってるな)

GRヤリス(右)はパワフルなエンジンに、ドライブモードによって前後へのトルク配分が変わるGR-4WDなるシステムを組み合わせている。受注が開始された(今回はそういうものが多い)

スズキも毎回、スポーティな仕様の提案を行っている。ウケいたのはスイフトスポーツを改造した、カタナエディション。あの二輪のKATANAのイメージを盛り込んだそうで、シルバーはこのボディの抑揚を表現するための特注色なんだそうだ。


ノーズもフェンダー部分もオリジナルで、かなりカッコいい。GRヤリスが出るんだから、スズキはなんとしてもこちらを出すべきだろう。がんばってほしいなあ。


私が好きだったのはホンダアクセスが提案する子どものための移動手段「AIBOU」。アイボじゃないよ。テレビドラマみたいだけれど、男くさい世界でなく、ほんわかしている。

バスタブ型のシャシーにフレームを設け、エアを入れたPVCで覆っている。手前にあるのは、乗車のための足載せ台。なにしろ想定ドライバーが130センチまでの子どもだから。


担当デザイナーのひとに話を聞いたら、もっとも見てほしいところはステアリングホイールとのことだった。やわらかいシリコンのような素材で覆われていて、グリップ式のアクセラレータとブレーキが備わっている。右手でグリップ部分を強く握ると加速、いっぽう左手でおなじことをするとブレーキ、というぐあい。

このコンセプトでおとな向けの提案も見たかった。子どもだと乗れる場所が限られてしまうからいまひとつダイナミズムに欠けると思うのだ。

このエクスポを訪れるひとの目当ては、いまも改造車であることは間違いない。これなんか、トヨタセンチュリーの車高をうんと下げて、いわゆるシャコタンにしてしまっている。審美的な完成度はともかく、権威(ブランド)によりかかりながら、それを自分たち独自のものにしたいという、このひとたちの欲望はかなり強烈だ。

ひどかったのはランチだ。会場内にあるワールドキッチンズというレストラン。上の豚丼は豚が最後に揚げてある。やたらオイリーで豚のおいしさはなし。しかもセルフサービスであり、かつ係のひとが「料理を手にするまで席を確保しないでください!」を連発している。荷物を手にお盆を持ってうろうろ場所を探す、という苦役を強いている。要反省!と言いたい。

で、取材がだいたい16時に終了したあと、私はずっと原稿書き。ちかくのトニーローマの厚意に甘えて(店員のひと全員かんじがいいのには驚いた)そこで原稿を書き、一段落して外に出たら22時を回っていた。誰もいない幕張メッセを横目に駐車場に急いだ。幸い暖かめの夜だったのでキモチよかった。


ogawa fumio HP

小川フミオのホームページ フリーランスのライフスタイルジャーナリスト。 クルマ、グルメ、ファッション(ときどき)、多分野のプロダクト、人物インタビューなど さまざまなジャンルを手がける。 編集とライティングともに得意分野。ライフスタイル系媒体を中心に紙とウェブともに寄稿中。